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コラム

2026年06月07日

MS法人とは?設立可否の判断ポイント

医療機関の経営相談において、「MS法人を作った方がよいでしょうか?」というご相談をいただくことが多く御座います。

MS法人とは、一般的にはメディカルサービス法人の略称で、医療法人やクリニック本体とは別に、医療周辺業務を行う法人を指します。
たとえば、不動産賃貸、医療機器の賃貸、物品販売、事務代行、広告・マーケティング支援などを行うケースがあり、適切に設計を行えば医院経営の大きな助けになります。

ただし、MS法人は「作れば節税になる」という単純なものではありません。
むしろ設計を誤ると、税務上・医療法上のリスクが高くなります。

特に注意すべき点は、医医療法人やクリニックの利益を、実態の乏しい取引を通じてMS法人へ移転しているように見える場合、問題視されます。

そのため、MS法人の設立可否は、次の観点から判断する必要があります。

第一に、MS法人が行う業務に実態があるかです。
単に請求書を発行するだけではなく、実際に人員・設備・契約・業務遂行の実態があることが重要です。

第二に、医療機関との取引価格が適正かです。
相場より高額な業務委託料、賃料、リース料を設定すると、利益移転や役員への利益供与と見られるリスクがあります。

第三に、医療機関本体で行うべき業務とMS法人で行う業務が明確に分かれているかです。
診療行為そのものや医療機関の運営判断に関わる業務を、営利法人側が実質的に支配しているような形は避けるべきです。

第四に、節税目的だけでなく、経営上の合理性があるかです。
たとえば、分院展開に伴うバックオフィス機能の集約、不動産管理、物販事業、自費診療に関連する周辺サービスの整理など、事業上の目的が明確であれば検討余地があります。

一方で、売上規模が小さい段階や、MS法人で行う業務が明確でない段階では、無理に設立しない方がよい場合もあります。
法人が増えることで、会計処理、税務申告、契約管理、資金移動、役員報酬設計などの管理負担も増えるためです。

実務上は、次のような場合にMS法人の検討余地があります。

・医療法人やクリニックとは別に、不動産や設備を管理したい場合
・分院展開を見据えて、事務・採用・広告機能を集約したい場合
・物販、教育、コンサルティングなど、医療行為以外の事業を整理したい場合
・親族や後継者を含めた資産管理・事業承継を検討したい場合
・将来的なM&Aや出口戦略を意識して、事業を切り分けたい場合

反対に、次のような場合は慎重な判断が必要です。

・節税だけを目的としている場合
・MS法人側に人員や業務実態がない場合
・医療機関から高額な業務委託料を支払うだけの設計になっている場合
・診療所の経営判断をMS法人が実質的に行っている場合
・契約書、価格根拠、業務記録が整備されていない場合

MS法人は、適切に設計すれば、医療機関の成長戦略、分院展開、資産管理、事業承継に役立つ場合があります。
一方で、安易に設立すると、税務調査や行政上のリスクを招きます。

大切なのは、「MS法人を作るかどうか」ではなく、「何のために作るのか」「どの業務を担わせるのか」「取引条件を第三者に説明できるか」を事前に整理することです。

Dr.Partners税理士事務所では、医科・歯科・美容医療領域に特化し、医療法人化、分院展開、MS法人設立、資産形成、事業承継までを含めた医療経営支援を行っています。

MS法人の設立を検討されている院長先生は、設立前の段階で一度ご相談ください。
設立の必要性、税務・法務上のリスク、医療機関との取引設計まで含めて、実務的に検討いたします。

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