コラム
2026年06月18日
連携型・機能強化型在支診が2区分に──「自院往診なし」は実質減点へ【2026年度診療報酬改定】
2026年度(令和8年度)の診療報酬改定で、在宅医療の現場に少し気になる見直しが入りました。
連携型の機能強化型在宅療養支援診療所(以下、連携型機能強化型在支診)について、
「自院の医師がきちんと往診体制を持っているかどうか」で評価に差がつくようになります。
連携先に頼って24時間体制を組んできた診療所にとっては、実質的な点数の引き下げになりかねない改定です。
今回は、何がどう変わるのか、そしてどう対応すればいいのかの方針を整理してみます。
そもそも何が問題だったのか
連携型機能強化型在支診は「1つの診療所だけでは24時間365日の在宅医療を支えきれないので、
複数の医療機関で連携して地域を支えましょう」という仕組みです。
ただ、この連携の中身を見てみると、自院で実際に24時間体制を確保している施設と、
連携先に依存して体制を確保している施設が、これまで同じ評価になっていました。
つまり「自分のところでしっかり往診まで担っている診療所」と「体制は組んでいるけれど実働はほぼ連携先任せの診療所」も、同じ点数だったわけです。
ここに国としては「自分でちゃんと汗をかいている診療所をもっと評価したい」という意図があり、今回の見直しにつながりました。
改定の中身|施設基準が「区分イ」と「区分ロ」の2つに分かれる
今回の改定で、連携型機能強化型在支診の施設基準は2つの区分に分割されます。
区分イ(新設・しっかり評価される側)
自院の医師による連続する24時間の往診体制等を、月に4回以上確保することが新たな要件になります。
ポイントは「自院の医師」で、連携先への丸投げは不可、自院単独での実働が求められるという点です。
ここでいう「自院の医師」には少し幅があり、往診担当日の前日以前に診療録を閲覧、
必要に応じて診療方針を訪問診療医と共有でき、当該医療機関からの往診経験を10回以上持つ往診担当医師も含まれます。
区分ロ(従来の連携体制を続ける側)
在宅支援連携体制を構成する他の医療機関と協力し、患家の求めに応じて24時間往診が可能な体制を確保することが要件です。
区分イとの最大の違いは、自院単独での「月4回以上の連続24時間往診体制」が要件とならない点です。
なお、どちらの区分を選んでも、患家の求めに応じた24時間往診体制の確保、
往診担当医の氏名・担当日等を文書で患家へ事前提示することは共通の必須要件として残ります。
「実質的な引き下げ」とはどういうことか
ここが今回いちばんお伝えしたいところです。
これまで通り連携先に頼る体制を続ける場合、区分ロを選ぶことになります。
区分ロが従来と同じ評価で据え置かれる一方、自院で往診まで担う区分イがより高く評価される設計です。
相対的に見れば、「自院の医師による往診体制を持たない診療所は、これまでより低い評価に置かれる」ことになり、
これが実質的な引き下げと言われる原因です。
つまり、何もしないで今まで通りでいると、知らないうちに評価が下がる側に回ってしまう可能性がある、ということです。
なお、別表第6の2に掲げる医療資源の少ない地域の診療所では、
看護師等といる患者に対する情報通信機器を用いた24時間診療体制で代替できる規定があり、これは区分ロにも適用されます。
へき地等で自院の医師確保が難しいケースには一定の配慮があります。
では、どう対応すればいいのか
慌てる必要はありませんが、放置もおすすめできません。次の順番で整理するのが現実的です。
1. まず自院の往診の実態を「数字で」確認する
平時から訪問診療を行う自院の医師が、月4回以上の連続24時間往診体制を確保できるかどうかを点検します。
「できそう」という感覚ではなく、直近数か月の往診の実績を実際にカウントしてみることが大事です。
意外と、すでに区分イの水準を満たしている診療所もあります。
2. 区分イが狙えるなら、取りに行く
自院で月4回以上の体制が組めるなら、区分イを取得して相対的に高い評価を確保するのが基本方針になります。
常勤医が1人の診療所では難しい場合もありますが、近隣の医師の応援や、
上記の「往診経験10回以上の医師」を担当に含める形で体制を作れないか検討する余地があります。
その場合は、診療録の閲覧体制と、訪問診療医との情報共有体制の整備も必要になります。
3. 当面は区分ロでも、将来の移行を見据えておく
今すぐ区分イが難しければ、まずは区分ロで届出を行います。
ただし「ずっと区分ロでいい」と考えるのではなく、医師体制やICT環境を少しずつ整えて、
いずれ区分イへ移行できる道筋を経営計画の中に入れておくことをおすすめします。
4. 届出のスケジュールを外さない
施設基準が再編されるため、すでに届け出ている医療機関も含めて、改めて区分を選んで届出をする必要が出てきます。
2026年6月から新点数を算定する場合は、可能な限り5月18日までに施設基準を届け出るよう案内が出ていました。
届出漏れは算定漏れに直結しますので、このようなスケジュール管理を徹底したいところです。
まとめ
今回の改定は、ひとことで言えば「連携の名のもとに実働を連携先へ任せきりにしている診療所には、それなりの評価しかつけませんよ」というメッセージです。
逆に言えば、自院でしっかり往診まで担っている診療所にとっては、努力が正当に評価され差別化につながります。
まずは、自院が区分イ・区分ロのどちらに当てはまるのかを実績ベースで確認するところから始めてみてください。
体制づくりや届出の準備でお困りのことがあれば、お気軽に弊所までご相談いただければと思います。